診療録管理体制加算の施設基準 – 令和6年度診療報酬改定
告示
七 診療録管理体制加算の施設基準
- 診療録管理体制加算1
- 患者に対し診療情報の提供が現に行われていること。
- 診療記録の全てが保管及び管理されていること。
- 診療記録管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。
- 中央病歴管理室等、診療記録管理を行うにつき適切な施設及び設備を有していること。
- 入院患者について疾病統計及び退院時要約が適切に作成されていること。
- 非常時における対応につき十分な体制が整備されていること。
- 診療録管理体制加算2
(1)のイからホまでを満たすものであること。
- 診療録管理体制加算3
- (1)のイ、ロ及びニを満たすものであること。
- 診療記録管理を行うにつき必要な体制が整備されていること。
- 入院患者について疾病統計及び退院時要約が作成されていること。
通知
第4 診療録管理体制加算
- 診療録管理体制加算1に関する施設基準
- 診療記録(過去5年間の診療録及び過去3年間の手術記録、看護記録等)の全てが保管・管理されていること。
- 中央病歴管理室が設置されており、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下単に「安全管理ガイドライン」という。)に準拠した体制であること。
- 診療録管理部門又は診療記録管理委員会が設置されていること。
- 診療記録の保管・管理のための規程が明文化されていること。
- 年間の退院患者数2,000名ごとに1名以上の専任の常勤診療記録管理者が配置されており、うち1名以上が専従であること。なお、診療記録管理者は、診療情報の管理、入院患者についての疾病統計(ICD10による疾病分類等)を行うものであり、診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を除く。)、窓口の受付業務、医療機関の経営・運営のためのデータ収集業務、看護業務の補助及び物品運搬業務等については診療記録管理者の業務としない。なお、当該専従の診療記録管理者は医師事務作業補助体制加算に係る医師事務作業補助者を兼ねることはできない。
- 入院患者についての疾病統計には、ICD(国際疾病分類)上の規定に基づき、4桁又は5桁の細分類項目に沿って疾病分類がなされていること。
- 以下に掲げる項目を全て含む電子的な一覧表を有し、保管・管理された診療記録が、任意の条件及びコードに基づいて速やかに検索・抽出できること。なお、当該データベースについては、各退院患者の退院時要約が作成された後、速やかに更新されていること。また、当該一覧表及び診療記録に係る患者の個人情報の取扱いについては、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日(個人情報保護委員会、厚生労働省))「以下「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」という。」に基づく管理が実施されていること。
- 退院患者の氏名、生年月日、年齢、性別、住所(郵便番号を含む。)
- 入院日、退院日
- 担当医、担当診療科
- ICD(国際疾病分類)コードによって分類された疾患名
- 手術コード(医科点数表の区分番号)によって分類された当該入院中に実施された手術
- 全診療科において退院時要約が全患者について作成されていること。また、前月に退院した患者のうち、退院日の翌日から起算して14日以内に退院時要約が作成されて中央病歴管理室に提出された者の割合が毎月9割以上であること。なお、退院時要約については、全患者について退院後30日以内に作成されていることが望ましい。
- 患者に対し診療情報の提供が現に行われていること。なお、この場合、「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日医政発第0912001号)を参考にすること。
- 許可病床数が200床以上の保険医療機関については、「安全管理ガイドライン」に基づき、専任の医療情報システム安全管理責任者を配置すること。また、当該責任者は、職員を対象として、少なくとも年1回程度、定期的に必要な情報セキュリティに関する研修を行っていること。ただし、令和6年3月31日において、現に当該加算に係る届出を行っている保険医療機関(許可病床数が200床以上400床未満のものに限る。)については、令和7年5月31日までの間、当該基準を満たしているものとみなす。
- 非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること。また、例えば、日次でバックアップを行う場合、数世代(少なくとも3世代)確保する等の対策を行うこと。
なお、ネットワークから切り離したオフラインで保管していることについては、医療情報システム・サービス事業者との契約書等に記載されているか確認し、当該契約書等の記載部分についても届出の添付資料とすること。
- 「安全管理ガイドライン」に基づき、非常時を想定した医療情報システムの利用が困難な場合の対応や復旧に至るまでの対応についての業務継続計画(以下単に「BCP」という。)を策定し、医療情報システム安全管理責任者の主導の下、少なくとも年1回程度、定期的に当該BCPに基づく訓練・演習を実施すること。また、その結果を踏まえ、必要に応じて改善に向けた対応を行っていること。訓練・演習については、診療を中断して実施する必要はないが、より実効性のあるものとするために、必要に応じてシステム関連事業者も参加した上で行うこと。
なお、当該BCPには「安全管理ガイドライン」の経営管理編「情報セキュリティインシデントへの対策と対応」、企画管理編「非常時(災害、サイバー攻撃、システム障害)対応とBCP策定」等に記載している事項について含める必要がある。また、作成に当たっては関係団体等が作成したマニュアル(医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト)についても参考にすること。
- 診療録管理体制加算2に関する施設基準
1の(1)から(10)までを満たしていること。
- 診療録管理体制加算3に関する施設基準
- 1の(1)から(4)まで、(9)及び(10)を満たしていること。
- 1名以上の専任の診療記録管理者が配置されていること。
- 入院患者についての疾病統計には、ICD大分類程度以上の疾病分類がされていること。
- 保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できること。
- 全診療科において退院時要約が全患者について作成されていること。
- 届出に関する事項
事務連絡
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診療録管理体制加算の施設基準について、過去の診療録も含めて電子カルテによる管理を行っている場合には、中央病歴管理室として専用の個室を備える必要があるのか。
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中央病歴管理室については、必ずしも専用の個室である必要はなく、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(平成22年2月1日医政発0201第4号)に準拠した体制をとっており、入退室が管理されている等、個人情報を入力、参照及び格納するための情報端末等が物理的な方法によって保護されていればよい。H22.06.11(その5)-3
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「診療記録の保管・管理のための規定が明文化」とあるが,具体的にどのような内容になるのか,ひな形等はあるのか。
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ひな形等は定めていない。通知の要件を満たしていればよい。H26.03.31(その1)-35
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年間の退院患者数2,000名あたり1名の専任の常勤診療記録管理者を配置することとされているが、例えば年間退院患者数が2,005名の場合は、何人配置すればよいのか。
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2人。直近1年間の退院患者数を2,000で除して端数を切り上げた値以上の人数を配置すること。H26.03.31(その1)-29
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年間退院患者数はどのように計算するのか。
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計算対象となる期間に退院日が含まれる患者の数を合計したものであり、同一患者の再入院(「診療報酬の算定方法」第1章第2部「通則5」に規定する入院期間が通算される再入院を含む)についても、それぞれ別に計算する。H26.03.31(その1)-30
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常勤診療記録管理者の配置に係る基準について、非常勤職員の常勤換算は認められるか。
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認められない。H26.03.31(その1)-31
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常勤診療記録管理者は、派遣職員や指揮命令権のない請負方式などの場合でもよいのか。
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どちらも認められない。H26.03.31(その1)-32
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常勤診療記録管理者は、がん拠点病院の基準で定められているがん登録の専従担当者でもよいのか。
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認められない。H26.03.31(その1)-33
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診療録管理体制加算1の施設基準において、年間退院患者数2,000人に1名以上の専任配置、うち1名が専従とあるが、退院2,000人以内の場合でも専従配置は必要か。
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必要である。H26.04.10(その3)-11
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電子的な一覧表とは、電子カルテを導入している必要があるのか。
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電子カルテを導入している必要はなく、表計算ソフト等によるものであっても差し支えない。H26.03.31(その1)-28
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「保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できること。」とあるが,外来診療記録についても必要か。また,「全診療科において退院時要約が全患者について作成されていること。」とあるが,退院時要約は看護師が作成した要約でもよいか。
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外来診療記録についても必要。退院時要約については,医師が作成しなければならない。H26.03.31(その1)-34
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「A207」診療録管理体制加算の施設基準において、「非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること。」とあるが、「非常時に備えた医療情報システム」とは、何を指すか。
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ここでいう医療情報システムは、非常時において継続して診療が行えるために最低限必要なシステムを想定しており、電子カルテシステム、オーダーリングシステムやレセプト電算処理システムを指す。R6.03.28(その1)-47
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診療録管理体制加算の施設基準において、「非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること。」とあるが、「バックアップを複数の方式で確保」とは具体的にどのようなものを指すか。
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例えば、HDDとRDX(Removable Disk Exchange system)、クラウドサービスとNAS(Network Attached Storage)など複数の媒体でバックアップを保存することなどが考えられる。R6.03.28(その1)-48
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R6.03.28(その1)-47における「バックアップ」について、例えば、クラウドサービスにおいてオンラインでデータを保存するとともに、オフラインのバックアップを取っている場合について、どのように考えればよいか。
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クラウドサービスを利用したバックアップの考え方については、以下の考え方に基づき、対応すること。
- クラウドサービスから、専用アプリを用い抽出したデータを、RDXなど別の媒体で保管している場合には要件を満たしているとされるが、この場合においても世代管理も十分に行うことに留意されたい。
- クラウドサービスから外部の記録媒体(NAS等)に自動でデータが転送される場合であって、常時(データ転送の際を除く。)ネットワークから切り離した状態でのバックアップを行っている場合には要件を満たしているとされる。
- クラウドサービスから、当該クラウドサービス内の他の論理的に切り離されている領域にバックアップ(いわゆるオフサイトバックアップ)を取っている場合であって、災害時等に速やかにデータ復旧が可能な状態にある場合には、要件を満たしているとされる。
なお、ネットワークから切り離したオフラインで保管していることについては、医療情報システム・サービス事業者との契約書等に記載されているかについても十分に確認されたい。
R6.03.28(その1)-49 -
R6.03.28(その1)-47において、例えば、電子カルテなどのオンラインのサーバからインターネットを介して別の媒体であるRDX、NAS等にバックアップを取った場合は要件を満たしているといえるか。
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単にバックアップを取るだけではなく、当該媒体が常時ネットワークから切り離された状態(データ転送の際を除く。)であって、データ転送にてバックアップが取得された後に、ネットワークと完全に切り離された状態であることを十分に確認し、バックアップデータを適切に保存した場合に限り要件を満たす。
したがって、媒体がネットワークから切り離されたオフラインでのバックアップがされていない場合やネットワークと完全に切り離されている状態であることが確認することができない状態である場合は要件を満たさない。
なお、常時ネットワークから切り離したオフラインで保管が可能な状態であるかについては、医療情報システム・サービス事業者との契約書等に記載されているかについても十分に確認されたい。
R6.03.28(その1)-50 -
診療録管理体制加算の施設基準において、「例えば、日次でバックアップを行う場合、数世代(少なくとも3世代)確保する等の対策を行うこと。」とあるが、世代管理について、日次のバックアップは、差分のバックアップでよいのか。また、週次、月次のバックアップはどのように考えればよいか。
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週次や月次の世代管理・方法については、病院の規模やバックアップの方式等によって異なることから一概に示すことが難しいが、緊急時に備えるために適した方法でリスクを低減する対策を講じること。R6.03.28(その1)-51
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「A207」診療録管理体制加算の施設基準において、「非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること。」とあるが、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の「システム運用編」において「非常時に備えた通常時からの対応」の例として挙げられている「論理的/物理的なネットワークの構成分割」は、ここでいう「ネットワークから」の「切り離し」に該当すると考えてよいか。
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よい。なお、ネットワーク全般の安全管理措置については、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の「システム運用編」の「13.ネットワークに関する安全管理措置」を参照のこと。R6.05.31(その7)-1
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「A207」診療録管理体制加算の施設基準において、「非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること。」とあるが、追記不能設定がなされた領域を有するバックアップ用機器又はクラウドサービスを利用し、当該領域にバックアップを保管している場合について、「ネットワークから切り離したオフラインで保管している」ものとみなしてよいか。
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当該機器又はクラウドサービスを用いたバックアップの特性も踏まえ、非常時にデータ復旧が可能な状態にある場合には、差し支えない。
なお、その場合、非常時におけるデータ復旧の手段や手順等について、医療情報システム・サービス事業者との契約書等に記載されているか、十分に確認されたい。
R6.05.31(その7)-2 -
「A207」診療録管理体制加算の施設基準において、「ネットワークから切り離したオフラインで保管していることについては、医療情報システム・サービス事業者との契約書等に記載されているか確認し、当該契約書等の記載部分についても届出の添付資料とすること」とあるが、オフラインでのバックアップの保管にあたり、事業者との契約を行っていない場合について、どのように考えればよいか。
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厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の「企画管理編」、「15. 技術的な安全管理対策の管理」に基づいて作成された院内の運用管理規程を添付資料とすること。なお、当該規程には、オフラインでの保管を行うにあたっての具体的な運用方法(追記不能設定がなされたバックアップ用機器又はクラウドサービスを利用する場合にあっては、当該機器又はサービスの機能の詳細や非常時の復旧方法)に関する記載が含まれていること。R6.06.18(その8)-2