心臓手術用カテーテル – 令和6年度診療報酬改定
告示
- 経皮的冠動脈形成術用カテーテル
- 冠動脈用ステントセット
-
- 心房中隔欠損作成術用カテーテル
通知
算定
- 心臓手術用カテーテルに併用されるガイドワイヤ等の特定保険医療材料は別途算定できる。
- 経皮的冠動脈形成術用カテーテル・再狭窄抑制型は、冠動脈ステント内再狭窄病変又は新規冠動脈病変に対して使用された場合に算定できる。ただし、対照血管径が3.0mm以上の新規冠動脈病変に対しては関連学会が定めるステートメントに沿って使用した場合に限り算定できる。
- 特定保険医療材料以外の保険医療材料であって心臓手術用カテーテルに併用されるもの(三方活栓、延長チューブ、インデフレーター等)は算定できない。
- 冠動脈用ステントセット・救急処置型は、対象血管内径2.5mmから5.0mmの冠動脈又は伏在静脈グラフトに穿孔が生じ、心嚢内への止血が困難な血液漏出がある患者に対する救命の為の緊急処置に使用された場合のみ算定できる。
- 冠動脈用ステントセット・救急処置型は、本医療材料による処置が不成功となった場合に適切な処置が行えるよう、心臓外科的処置のできる施設又は近隣の医療機関との連携により緊急事態に対応できる施設で使用された場合のみ算定できる。
- 冠動脈用ステントセット・救急処置型は、血管造影法、経皮的冠動脈形成術及び経皮的冠動脈ステント留置術に熟練し、かつ、本医療材料を用いた手技に関する所定の研修を修了した医師が使用すること。
- 冠動脈狭窄部貫通用カテーテルは、慢性完全狭窄症例や冠動脈完全閉塞の急性心筋梗塞等ガイドワイヤ通過困難な症例において、経皮的冠動脈形成術の施行時に使用した場合に算定できる。
- 特殊カテーテル・切削型のうち、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルの材料価格には、同時に使用されるモータードライブユニット等(アドバンサー、カッターカテーテル、止血弁等)の費用が含まれ、別に算定できない。
- 特殊カテーテル・破砕型は、石灰化スコアが3以上の新規冠動脈病変に対して使用された場合に限り算定できる。
定義
- 心臓手術用カテーテルの機能区分の考え方
術式、使用目的及び構造により、経皮的冠動脈形成術用カテーテル( 6 区分)、冠動脈狭窄部貫通用カテーテル、冠動脈用ステントセット( 4 区分)、特殊カテーテル(2区分)、弁拡張用カテーテル及び心房中隔欠損作成術用カテーテル( 2 区分)の合計16区分に区分する。
- 経皮的冠動脈形成術用カテーテル
- 定義
次のいずれにも該当すること。
- 薬事承認又は認証上、類別が「機械器具(51) 医療用嘴管及び体液誘導管」であって、一般的名称が「バルーン拡張式血管形成術用カテーテル」、「冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」、「バルーン拡張式冠動脈灌流型血管形成術用カテーテル」又は「冠動脈向け注入用カテーテル」であること。
- 経皮的冠動脈形成術を実施するに際し、冠動脈の狭窄部を拡張する目的で使用するバルーンカテーテルであること。
- 冠動脈狭窄部貫通用カテーテルに該当しないこと。
- 機能区分の考え方
使用目的により、一般型、インフュージョン型、パーフュージョン型、カッティング型、スリッピング防止型及び再狭窄抑制型の合計6 区分に区分する。
- 機能区分の定義
- 一般型
イからカまでに該当しない経皮的冠動脈形成術用カテーテルであること。
- インフュージョン型
末梢塞栓の可能性のある血栓性病変のある患者等に対し、経皮的冠動脈形成術の実施中に、バルーン部分の周辺に薬剤投与を行うことを目的に使用するカテーテルであること。
- パーフュージョン型
広い血液灌流域をもつ冠動脈に病変のある患者等に対し、経皮的冠動脈形成術のバルーン拡張時に、冠血流の確保又は血管穿孔に対する血液漏出の一時的な封止を目的に使用するカテーテルであること。
- カッティング型
高圧をかけることが困難な血管分岐部に病変のある患者等に対し、切開と同時の拡張を目的に使用する、バルーンに刃を有するカテーテルであること。
- スリッピング防止型
一般型バルーンカテーテルではスリッピングを起こして十分な拡張が得られないと想定される病変のある患者等に対し、経皮的冠動脈形成術の血管内狭窄部の拡張及びステント留置直後の拡張を目的に使用する、バルーン部にスリッピングを防止する構造を有するカテーテルであること。
- 再狭窄抑制型
冠動脈ステント内再狭窄病変又は新規冠動脈病変のある患者に対し、経皮的冠動脈形成術のバルーン拡張時に、バルーンに塗布されている薬剤を血管内壁に吸収させることを目的に使用するカテーテルであること。
- 一般型
- 定義
- 冠動脈狭窄部貫通用カテーテル
定義
次のいずれにも該当すること。
- 薬事承認又は認証上、類別が「機械器具(51) 医療用嘴管及び体液誘導管」であって、一般的名称が「冠動脈貫通用カテーテル」又は「中心循環系マイクロカテーテル」であること。
- 冠動脈完全閉塞などの狭窄部へのガイドワイヤの通過が困難な患者に対し、経皮的冠動脈形成術を実施するに際し、ガイドワイヤの通過部を確保することを目的に使用するカテーテルであること。
- 冠動脈用ステントセット
- 定義
次のいずれにも該当すること。
- 薬事承認又は認証上、類別が「機械器具( 7 ) 内臓機能代用器」であって、一般的名称が「心血管用ステント」、「冠動脈ステント」、「冠動脈用ステントグラフト」、「吸収性冠動脈ステント」又は「マウス抗体使用冠動脈ステント」であること。
- 経皮的冠動脈ステント留置術を実施するに際し、血管内腔の確保を目的に病変部に挿入留置して使用するステントセット( デリバリーシステムを含む。) 、又は冠動脈等の穿孔部の救急処置を目的に、経皮的に病変部に挿入留置して使用するステントグラフトセット( デリバリーシステムを含む。) であること。
- 機能区分の考え方
ステントの構造及び使用目的により、一般型、救急処置型、再狭窄抑制型及び生体吸収・再狭窄抑制型の合計4 区分に区分する。
- 機能区分の定義
- 一般型
イからエまで以外のものであること。
- 救急処置型
冠動脈等の穿孔部の救急処置を目的に、経皮的に病変部に挿入留置して使用するステントグラフトセット( デリバリーシステムを含む。) であること。
- 再狭窄抑制型
薬剤による再狭窄抑制のための機能を有し、血管内腔の確保を目的に病変部に挿入留置して使用するステントセット(デリバリーシステムを含む。) であって、エ以外のものであること。
- 生体吸収・再狭窄抑制型
薬剤による再狭窄抑制のための機能を有し、血管内腔の確保を目的に病変部に挿入留置して使用する生体吸収材料製ステントセット( デリバリーシステムを含む。) であること。
- 一般型
- 定義
- 特殊カテーテル
- 定義
次のうちアからウまでのいずれにも該当すること、ア及びエのいずれにも該当すること、ア、オ及びカのいずれにも該当すること又はア及びキのいずれにも該当すること。
- 薬事承認又は認証上、類別が「機械器具(51) 医療用嘴管及び体液誘導管」であって、一般的名称が「アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル」、「アテローム切除型血管形成術用カテーテル」又は「レーザ式血管形成術用カテーテル」であること。
- 経皮的冠動脈形成術( 高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの) を実施するに際し、冠動脈内のアテローム塊又は石灰化した狭窄病変の切除を目的に冠動脈内に挿入して使用するカテーテル( アドバンサーを含む。) であること。
- 高速回転をする先端バーにより、狭窄病変を切除するものであって、アテローム塊等を体外に除去する必要がないものであること。
- 経皮的冠動脈形成術が困難な病変に対して、冠動脈に挿入し、カテーテルの先端から照射されるエキシマレーザによって動脈硬化組織を蒸散させ、冠動脈狭窄部を開存させることを目的としたカテーテルであること。
- 経皮的冠動脈粥腫切除術を実施するに際し、冠動脈内のアテローム塊等の切除を目的に冠動脈内に挿入して使用するカテーテル( モータードライブ等の付属品を含む。) であること。
- カテーテル先端近くの回転式カッタによりアテローム塊等を切除するものであって、カテーテルの先端部に切除塊を取り込む構造を有し、切除されたアテローム塊等を体外に除去する機能を有するものであること。
- 新規の冠動脈重度石灰化病変を破砕し、血管内の狭窄部拡張を行うために使用するカテーテル(駆動装置等の付属品を含む。)であること。
- 機能区分の考え方
使用目的及び構造により、切削型及び破砕型の合計2区分に区分する。
- 機能区分の定義
- 切削型
イに該当しないこと。
- 破砕型
次のいずれにも該当すること。
- 新規の冠動脈重度石灰化病変を破砕し、血管内の狭窄部拡張を行うために使用するカテーテル(駆動装置等の付属品を含む。)であること。
- カテーテル遠位部にバルーンを有し、バルーンを介して音圧パルスを石灰化病変に伝達し破砕する機能を有するものであること。
- 切削型
- 定義
- 弁拡張用カテーテル
定義
次のいずれにも該当すること。
- 薬事承認又は認証上、類別が「機械器具(51) 医療用嘴管及び体液誘導管」であって、一般的名称が「バルーン拡張式弁形成術用カテーテル」又は「中隔開口用カテーテル」であること。
- 以下のどちらかに該当すること。
- 狭窄した肺動脈弁、大動脈弁若しくは僧帽弁を拡張するための又は経皮的大動脈弁置換術における後拡張に使用するためのバルーンカテーテルであること。
- 心房間交通が必要な心疾患に対し、閉鎖又は狭小化した心房間交通をバルーンにて経皮的に拡張することを目的とするバルーンカテーテルであること。
- 心房中隔欠損作成術用カテーテル
- 定義
次のいずれにも該当すること。
- 薬事承認又は認証上、類別が「機械器具(51) 医療用嘴管及び体液誘導管」であって、一般的名称が「中隔開口用カテーテル」であること。
- 大血管転位症等のチアノーゼ疾患における症状の改善・軽減を目的に、非開胸的経静脈手技で心房中隔欠損作成術を実施する際に使用するカテーテルであること。
- 機能区分の考え方
構造及び使用方法により、バルーン型及びブレード型の合計2 区分に区分する。
- 機能区分の定義
- バルーン型
心房中隔を裂開するためのバルーンを有するカテーテルであること。
- ブレード型
先端に心房中隔を切開するための刃を有するカテーテルであること。
- バルーン型
- 定義
事務連絡
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「130 心臓手術用カテーテル」における「関連学会が定めるステートメントに沿って」とは、具体的には何を指すのか。
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日本心血管インターベンション治療学会の「血管径3.0mm 以上の新規冠動脈病変へのDCBの使用について」(2022年12月1日)にある、 『1.使用条件・DCB Real World Registryへの登録 2.DCB治療が考慮される症例及び病変
・出血リスクが高い患者又はステント留置に伴う長期の抗血小板療法が困難と考えられる患者
・ステントの成績が十分確立していない患者(回旋枝入口部、分岐部側枝等)
ただし、DCB治療時の前拡張において重度の解離が発生した場合は、急性冠閉塞のリスクがあるためステント留置を考慮する。』のことを指す。
R5.01.31(材料)-1