病棟薬剤業務実施加算の施設基準 – 令和6年度診療報酬改定

目次・メニュー 全文検索

  • 新しいタブで開く

告示

三十五の四 病棟薬剤業務実施加算の施設基準

  1. 病棟薬剤業務実施加算1の施設基準
    1. 病棟ごとに専任の薬剤師が配置されていること。
    2. 薬剤師が実施する病棟における薬剤関連業務につき、病院勤務医等の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性に資するために十分な時間が確保されていること。
    3. 医薬品情報の収集及び伝達を行うための専用施設を有すること。
    4. 当該保険医療機関における医薬品の使用に係る状況を把握するとともに、医薬品の安全性に係る重要な情報を把握した際に、速やかに必要な措置を講じる体制を有していること。
    5. 薬剤管理指導料の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関であること。
  2. 病棟薬剤業務実施加算2の施設基準
    1. 病院の一般病棟の治療室を単位として行うものであること。
    2. 病棟薬剤業務実施加算1に係る施設基準の届出を行っている保険医療機関であること。
    3. 治療室ごとに専任の薬剤師が配置されていること。
    4. 薬剤師が実施する治療室における薬剤関連業務につき、病院勤務医等の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性に資するために十分な時間が確保されていること。
    5. ハの薬剤師を通じて、当該保険医療機関における医薬品の使用に係る状況を把握するとともに、医薬品の安全性に係る重要な情報を把握した際に、速やかに必要な措置を講じる体制を有していること。
  3. 薬剤業務向上加算の施設基準
    1. 免許取得直後の薬剤師を対象とした病棟業務等に係る総合的な研修が実施されていること。
    2. 都道府県との協力の下で、当該保険医療機関の薬剤師が、一定期間、別の保険医療機関に勤務して地域医療に係る業務を実践的に修得する体制を整備していること。

通知

第26の3 病棟薬剤業務実施加算

  1. 病棟薬剤業務実施加算1の施設基準
    1. 当該保険医療機関に常勤の薬剤師が、2名以上配置されているとともに、病棟薬剤業務の実施に必要な体制がとられていること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている非常勤薬剤師を2名組み合わせることにより、当該常勤薬剤師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤薬剤師が配置されている場合には、これらの非常勤薬剤師の実労働時間を常勤換算し常勤薬剤師数に算入することができる。ただし、常勤換算し常勤薬剤師に算入することができるのは、常勤薬剤師のうち1名までに限る。
    2. 病棟薬剤業務を行う専任の薬剤師が当該保険医療機関の全ての病棟(「A106」障害者施設等入院基本料、「A304」地域包括医療病棟入院料又は「A307」小児入院医療管理料以外の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟を除く。)に配置されていること。ただし、この場合において、複数の薬剤師が一の病棟において病棟薬剤業務を実施することを妨げない。

      病棟の概念及び1病棟当たりの病床数に係る取扱いについては、別添2の第2の1及び2によるものであること。

      なお、病棟薬剤業務実施加算を算定できない手術室、治療室及び小児入院医療管理料以外の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟においても、病棟薬剤業務の実施に努めること。

    3. 当該保険医療機関において、病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1か月の実施時間が合算して1週間につき20時間相当に満たない病棟(「A106」障害者施設等入院基本料、「A304」地域包括医療病棟入院料又は「A307」小児入院医療管理料以外の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟を除く。)があってはならないこと。
    4. 病棟薬剤業務の実施時間には、「A307」小児入院医療管理料の「注6」に規定する退院時薬剤情報管理指導連携加算、「B008」薬剤管理指導料及び「B014」退院時薬剤情報管理指導料の算定のための業務に要する時間は含まれないものであること。
    5. 医薬品情報の収集及び伝達を行うための専用施設(以下「医薬品情報管理室」という。)を有し、院内からの相談に対応できる体制が整備されていること。なお、院内からの相談に対応できる体制とは、当該保険医療機関の医師等からの相談に応じる体制があることを当該医師等に周知していればよく、医薬品情報管理室に薬剤師が常時配置されている必要はない。
    6. 医薬品情報管理室が、病棟専任の薬剤師を通じて、次のアからウまでに掲げる情報(以下「医薬品安全性情報等」という。)を積極的に収集し、評価するとともに、一元的に管理し、医薬品安全性情報等及びその評価した結果について、有効に活用されるよう分かりやすく工夫した上で、関係する医療従事者に速やかに周知していること。
      1. 当該保険医療機関における医薬品の投薬及び注射の状況(使用患者数、使用量、投与日数等を含む。)
      2. 当該保険医療機関において発生した医薬品に係る副作用(医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定による報告の対象となる副作用をいう。なお、同条第1項の規定による報告の対象となる副作用についても、同様の体制を講じていることが望ましい。)、ヒヤリハット、インシデント等の情報
      3. 公的機関、医薬品製造販売業者、卸売販売業者、学術誌、医療機関外の医療従事者等外部から入手した医薬品の有効性、安全性、品質、ヒヤリハット、インシデント等の情報(後発医薬品に関するこれらの情報を含む。)
    7. 医薬品安全性情報等のうち、迅速な対応が必要となるものを把握した際に、電子媒体に保存された診療録、薬剤管理指導記録等の活用により、当該医薬品を処方した医師及び投与された患者(入院中の患者以外の患者を含む。)を速やかに特定でき、必要な措置を迅速に講じることができる体制を有していること。
    8. 病棟専任の薬剤師と医薬品情報管理室の薬剤師が必要に応じカンファレンス等を行い、各病棟での問題点等の情報を共有するとともに、各薬剤師が病棟薬剤業務を実施するにつき必要な情報が提供されていること。
    9. データベースの構築などにより医療従事者が、必要な時に医薬品情報管理室で管理している医薬品安全性情報等を容易に入手できる体制を有していること。
    10. 上記(6)から(9)までに規定する内容の具体的実施手順及び新たに入手した情報の重要度に応じて、安全管理委員会、薬事委員会等の迅速な開催、関連する医療従事者に対する周知方法等に関する手順が、あらかじめ「医薬品の安全使用のための業務に関する手順書(医薬品業務手順書)」に定められており、それに従って必要な措置が実施されていること。
    11. 「B008」薬剤管理指導料に係る届出を行っていること。
    12. 病棟専任の薬剤師の氏名が病棟内に掲示されていること。
  2. 病棟薬剤業務実施加算2の施設基準
    1. 病棟薬剤業務実施加算1に係る届出を行っていること。
    2. 病棟薬剤業務を行う専任の薬剤師が当該加算を算定する治療室に配置されていること。
    3. 当該保険医療機関において、治療室専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1か月の実施時間が合算して1週間につき20時間相当に満たない治療室があってはならないこと。
    4. 病棟薬剤業務の実施時間には、「B008」薬剤管理指導料及び「B014」退院時薬剤情報管理指導料算定のための業務に要する時間は含まれないものであること。
    5. 医薬品情報管理室が、治療室専任の薬剤師を通じて、医薬品安全性情報等を積極的に収集し、評価するとともに、一元的に管理し、当該情報及びその評価した結果について、有効に活用されるよう分かりやすく工夫した上で、関係する医療従事者に速やかに周知していること。
    6. 治療室専任の薬剤師と医薬品情報管理室の薬剤師が必要に応じカンファレンス等を行い、各治療室での問題点等の情報を共有するとともに、各薬剤師が病棟薬剤業務を実施するにつき必要な情報が提供されていること。
  3. 薬剤業務向上加算の施設基準
    1. 病棟薬剤業務実施加算1に係る届出を行っていること。
    2. 「免許取得直後の薬剤師を対象とした病棟業務等に係る総合的な研修」とは、次に掲げる体制を整備する保険医療機関が実施するものをいう。
      1. 当該保険医療機関は研修を計画的に実施するために、次のいずれも満たしていること。
        1. 当該研修における責任者を配置すること。
        2. 研修の計画や実施等に関して検討するために、(イ)の責任者及び当該保険医療機関の医師、薬剤師等の多職種から構成される委員会が設置されていること。
      2. 薬剤師として十分な病院勤務経験を有し、研修内容に関して指導能力を有する常勤の薬剤師が、当該研修を受ける薬剤師(以下「受講薬剤師」という。)の指導に当たっていること。
      3. 受講薬剤師の研修に対する理解及び修得の状況などを定期的に評価し、その結果を当該受講薬剤師にフィードバックすること。また、研修修了時に当該受講薬剤師が必要な知識及び技能を習得しているかどうかについて、評価が適切に実施されていること。
      4. 無菌製剤処理を行うための設備及び医薬品情報管理室等の設備が整備されていること。
      5. 調剤、病棟薬剤業務、チーム医療、医薬品情報管理等を広く修得できる研修プログラムに基づき研修を実施していること。なお、研修プログラムを医療機関のウェブサイトで公開するとともに、定期的に研修の実施状況の評価及び研修プログラムの見直しを実施する体制を有していること。
    3. (2)のオの研修プログラムは、以下の内容を含むものであること。
      1. 内服・外用・注射剤の調剤(医薬品(麻薬・毒薬・向精神薬)の管理、処方鑑査を含む。)
      2. 外来患者の薬学的管理(外来化学療法を実施するための治療室における薬学的管理等)
      3. 入院患者の薬学的管理(薬剤管理指導、病棟薬剤業務、入院時の薬局との連携を含む。)
      4. 無菌製剤処理(レジメン鑑査を含む)
      5. 医薬品情報管理
      6. 薬剤の血中濃度測定の結果 に基づく投与量の管理
      7. 手術室及び集中治療室等における薬学的管理
    4. (2)及び(3)に関しては、「医療機関における新人薬剤師の研修プログラムの基本的考え方」(一般社団法人日本病院薬剤師会)並びに「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」(令和3年度厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究)における薬剤師の卒後研修プログラム骨子案及び薬剤師卒後研修プログラム評価票案を参考にすること。
    5. 「都道府県との協力の下で、当該保険医療機関の薬剤師が、一定期間、別の保険医療機関に勤務して地域医療に係る業務を実践的に修得する体制」とは、地域医療に係る業務を一定期間経験させるため、都道府県における薬剤師確保の取組を担当する部署と連携して、自施設の薬剤師を他の保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を除く。)に出向させる体制として、以下の要件のいずれも満たすこと。
      1. 出向先について、都道府県や二次医療圏などの個々の地域における保険医療機関に勤務する薬剤師の需要と供給の状況を踏まえ、薬剤師が不足している地域において病棟業務やチーム医療等の業務の充実が必要な保険医療機関を選定していること。なお、薬剤師が不足している地域とは、「薬剤師確保計画ガイドラインについて」(令和5年6月9日付薬生総発0609第2号厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知)及び「薬剤師偏在指標等について」(令和5年6月9日付厚生労働省医薬・生活衛生局総務課事務連絡)等に基づいて都道府県により判断されるものであること。
      2. アにおいて選定した出向先の保険医療機関及び都道府県における薬剤師確保の取組を担当する部署との協議の上で、次の要件を満たす具体的な計画が策定されていること。なお、具体的な計画には、当該地域における医療機関に勤務する薬剤師が不足している状況、出向先の保険医療機関を選定した理由を記載するとともに、都道府県と協議したことがわかる内容を記載又は計画書へ添付しておくこと。
        1. 出向する薬剤師は、概ね3年以上の病院勤務経験を有し、かつ、当該保険医療機関において概ね1年以上勤務している常勤の薬剤師であり、その後、出向元の保険医療機関に戻って勤務すること。
        2. 出向の期間は、地域の実情を踏まえ、出向先の保険医療機関、都道府県における薬剤師確保の取組を担当する部署との協議により決められたものであること。
      3. ア及びイに基づき現に出向を実施していること。
    6. 医療法第4条の2第1項に規定する特定機能病院又は急性期充実体制加算1、2に係る届出を行っている保険医療機関であること。

  4. 届出に関する事項
    1. 病棟薬剤業務実施加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の4を用いること。
    2. 調剤、医薬品情報管理、薬剤管理指導、在宅患者訪問薬剤管理指導又は病棟薬剤業務のいずれに従事しているかを(兼務の場合はその旨を)備考欄に記載すること。
    3. 薬剤業務向上加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の4の2を用いること。
    4. 新規届出の場合は、3(5)に基づき当該保険医療機関において出向に関する具体的な計画が策定された時点で届出を行うことができる。また、現に出向を開始した月から算定を開始すること。
    5. 薬剤業務向上加算を算定する場合は、毎年8月に前年度における3の(2)及び(5)に係る体制を評価するため、別添7の様式40の4の2により届け出ること。

事務連絡

  1. A244病棟薬剤業務実施加算について、①複数の薬剤師が一の病棟において、または、②一の薬剤師が複数の病棟において、病棟薬剤業務を実施することができるのか。
  2. 実施することができる。ただし、複数の薬剤師が一の病棟において病棟薬剤業務を行う場合には、当該薬剤師の間で適切に情報を共有すること。
    H24.03.30(その1)-61

  3. 区分番号「A244」病棟薬剤業務実施加算における病棟薬剤業務の実施時間について、区分番号「L009」の注5及び区分番号「L010」の注2に規定する周術期薬剤管理加算に係る業務に要する時間を含めることは可能か。
  4. 周術期薬剤管理加算における「専任の薬剤師」が行う周術期薬剤管理に係る業務に要する時間は病棟薬剤業務実施加算の病棟薬剤業務の実施時間に含めることはできないが、周術期薬剤管理加算における「病棟薬剤師」が行う薬剤関連業務に要する時間は病棟薬剤業務実施加算の病棟薬剤業務の実施時間に含めることができる。
    R4.03.31(その1)-89

  5. 保険医療機関内のすべての病棟(区分番号「A106」障害者施設等入院基本料又は特殊疾患病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟を除く。)に薬剤師が配置されていなければならず、また、病棟単位で算定することはできないという理解で良いか。
  6. そのとおり。
    H24.03.30(その1)-60

  7. 救命救急入院料などの特定入院料を算定する患者のみが1看護単位で入院している病棟には、薬剤師を配置する必要がないという理解で良いか。また、原則として保険診療対象外となる患者のみが1看護単位で入院している病棟(産婦人科病棟等)には、配置の必要がないという理解で良いか。
  8. 当該病棟には当該病棟に専任の薬剤師を配置する必要はないが、当該病棟においても病棟薬剤業務を実施するよう努めること。ただし、当該病棟に入院基本料(障害者施設等入院基本料を除く。)を算定する患者が含まれている場合には、薬剤師を配置し、病棟薬剤業務を実施する必要がある。
    H24.03.30(その1)-67

  9. A244病棟薬剤業務実施加算については、病棟ごとに専任の薬剤師を配置することが要件となっているが、薬剤管理指導料の施設基準において医薬品情報管理室に配置することになっている常勤薬剤師と重複することは可能か。
  10. 医薬品情報管理室の常勤薬剤師を病棟専任の薬剤師として配置することは不可とはなっていないが、それぞれの業務について適切に行われる必要がある。
    H24.03.30(その1)-56

  11. 区分番号「A244」病棟薬剤業務実施加算の施設基準において、「医薬品に係る情報を積極的に収集し、評価するとともに、一元的に管理し、当該情報及びその評価した結果について、有効に活用されるよう分かりやすく工夫した上で、関係する医療従事者に速やかに周知すること」とされているが、医療従事者への速やかな周知は電子的媒体、紙媒体いずれでもよいか。
  12. 速やかに周知されていれば電子的媒体、紙媒体いずれでもよい。
    H28.06.14(その4)-11

  13. 病棟薬剤業務実施加算2について、算定対象となっている入院料ごとに届出を行うことは可能か。
  14. 可能。
    H28.03.31(その1)-58

  15. 「A244」病棟薬剤業務実施加算の注2に規定する薬剤業務向上加算の施設基準における「都道府県との協力の下で、当該保険医療機関の薬剤師が、一定期間、別の保険医療機関に勤務して地域医療に係る業務を実践的に修得する体制」について、協力する都道府県は、当該保険医療機関が所在する都道府県に限るのか。
  16. 当該保険医療機関が所在する都道府県と協力することが望ましいが、出向先を選定することが困難である場合には、他の都道府県との協力の下での出向を実施した場合でも該当する。
    R6.03.28(その1)-65

  17. 「A244」病棟薬剤業務実施加算の注2に規定する薬剤業務向上加算の施設基準について、「現に出向を実施していること」が要件とされているが、出向先ではどのような勤務形態でもよいか。
  18. 出向先における勤務形態は、常勤(週4日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週32時間以上であることをいう。)の職員として継続的に勤務している必要がある。
    R6.05.31(その7)-5