ポジトロン断層撮影 – 令和6年度診療報酬改定
告示
ポジトロン断層撮影
- アミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)
- 15O標識ガス剤の合成及び吸入、18FDGの合成及び注入、13N標識アンモニア剤の合成及び注入、18F標識フルシクロビンの注入並びにアミロイドPETイメージング剤の合成(放射性医薬品合成設備を用いた場合に限る。)及び注入に要する費用は、所定点数に含まれる。
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関以外の保険医療機関において行われる場合は、所定点数の100分の80に相当する点数により算定する。
- 1から4までについては、新生児、3歳未満の乳幼児(新生児を除く。)又は3歳以上6歳未満の幼児に対して断層撮影を行った場合は、新生児加算、乳幼児加算又は幼児加算として、1,600点、1,000点又は600点を所定点数に加算する。ただし、注3の規定により所定点数を算定する場合においては、1,280点、800点又は480点を所定点数に加算する。
通知
- ポジトロン断層撮影は、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。
- 15O標識ガス剤を用いた場合
- 「1」の15O標識ガス剤を用いた場合(一連の検査につき)について、当該画像診断に 伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成及び吸入に係る 費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 18FDGを用いた場合
- 「2」の18FDGを用いた場合(一連の検査につき)については、てんかん、心疾患若しくは血管炎の診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)の病期診断若しくは転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。
1.てんかん 難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。 2.心疾患 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断( 他の検査で判断のつかない場合に限る。)、心サルコイドーシスの診断(心臓以外で類上皮細胞肉芽腫が陽性でサルコイドーシスと診断され、かつ心臓病変を疑う心電図又は心エコー所見を認める場合に限る。)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用する。 3 . 悪性腫瘍( 早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。) 他の検査又は画像診断により病期診断又は転移若しくは再発の診断が確定できない患者に使用する。 4.血管炎 高安動脈炎等の大型血管炎において、他の検査で病変の局在又は活動性の判断のつかない患者に使用する。 - 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。なお、高安動脈炎等の大型血管炎の診断に用いる18FDG製剤については、当該診断のために用いるものとして薬事承認を得ている18FDG製剤を使用した場合に限り算定する。
- 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的で「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)を実施した場合には、主たるもののみを算定する。
- 18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 「2」の18FDGを用いた場合(一連の検査につき)については、てんかん、心疾患若しくは血管炎の診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)の病期診断若しくは転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。
- 13N標識アンモニア剤を用いた場合
- 「3」の13N標識アンモニア剤を用いた場合(一連の検査につき)については、他の検査で判断のつかない虚血性心疾患の診断を目的として行った場合に算定する。なお、負荷に用いる薬剤料は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 13N標識アンモニア剤の合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 18F標識フルシクロビンを用いた場合
- 「4」の18F標識フルシクロビンを用いた場合(一連の検査につき)については、初発の悪性神経膠腫が疑われる患者に対して、腫瘍摘出範囲の決定の補助を目的として、腫瘍の可視化に用いるものとして薬事承認を得ている放射性医薬品を用いて行った場合に限り算定する。
- 18F標識フルシクロビンの注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- アミロイドPETイメージング剤を用いた場合
- 「5」のアミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)については、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品に係る厚生労働省の定める最適使用推進ガイドラインに沿って、アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度の認知症が疑われる患者等に対し、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品の投与の要否を判断する目的でアミロイドβ病理を示唆する所見を確認する場合に、患者1人につき1回に限り算定する。ただし、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品の投与中止後に初回投与から18か月を超えて再開する場合は、さらに1回に限り算定できる。なお、この場合においては、本撮影が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
- 「5」の「イ」放射性医薬品合成設備を用いた場合については、使用目的又は効果として、アミロイドPETイメージング剤の製造に使用するものとして薬事承認又は認証を得ている放射性医薬品合成設備を用いて、アミロイドPETイメージング剤を医療機関内で製造した場合に限り算定する。ただし、アミロイドPETイメージング剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。なお、アミロイドPETイメージング剤の合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 「5」の「ロ」イ以外の場合のうち、上記アの場合については、効能又は効果として、アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化に用いるものとして薬事承認を得ているアミロイドPETイメージング剤を使用した場合に限り算定する。なお、アミロイドPETイメージング剤の注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 「5」の「ロ」イ以外の場合については、効能又は効果 としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品に係る厚生労働省の定める最適使用推進ガイドラインに沿って、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品の投与終了の可否を検討する場合及び18か月を超える投与継続の可否を検討する場合は、それぞれの場合につき、さらに1回に限り算定できる。
- 「5」の「ロ」イ以外の場合のうち、上記エの場合については、効能又は効果として、抗アミロイドベータ抗体薬投与後の脳内アミロイドベータプラークの可視化に用いるものとして薬事承認を得ているアミロイドPETイメージング剤を使用した場合に限り算定する。なお、アミロイドPETイメージング剤の注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 「E101-3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)の「4」アミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)又は「E101-4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)の「3」アミロイドPETイメージング剤を用いた場合(一連の検査につき)を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。
- ポジトロン断層撮影と同時に同一の機器を用いて行ったコンピューター断層撮影の費用はポジトロン断層撮影の所定点数に含まれ、別に算定できない。
- 当該撮影に用いる放射性医薬品については、専門の知識及び経験を有する放射性医薬品管理者の下で管理されていることが望ましい。
事務連絡
-
E101-2ポジトロン断層撮影及びE101-3ポジトロン断層・コンピュータ断層複合撮影について、悪性リンパ腫の治療効果判定のために行った場合については、転移・再発の診断の目的に該当すると考えてよいか。
-
そのとおり。H24.03.30(その1)-147
-
PET撮影の要件について、例えば肺癌であれば「他の検査、画像診断により肺癌の存在を疑うが、病理診断により確定診断が得られない患者」という記載が無くなっているが、病理診断がなければPET撮影の算定はできなくなったのか。
-
病理診断による確定診断が得られなかった場合については、臨床上高い蓋然性をもって悪性腫瘍と診断されれば、なお従前の通り算定できる。H22.03.29(その1)-131
-
PETについて、80/100の点数は、施設基準の届出がなくとも算定可能か。
-
80/100の点数を算定する場合にあっても、届出が必要。H18.03.28(その2)-6-3
-
アミロイドPETイメージング製剤を医療機関内で製造せず、市販の医薬品を購入して使用する場合の費用は、当該点数に含まれるのか。
-
現時点においては当該点数に含まれるものとする。R5.12.19(保医発1219第5号)-1
-
FDG製剤を医療機関内で製造せず、市販の医薬品を購入して使用する場合の費用は、当該点数に含まれるのか。
-
その通り。H18.03.31(その3)-79
-
FDG製剤を医療機関内で製造せず、市販の医薬品を購入して使用する場合の、衛生管理、品質管理に関する基準等はあるか。
-
特段規定していないが、医療機関内で製造する場合の基準に準じて取り扱うことが望ましい。なお、医療法に規定する安全管理基準は、FDG製剤を医療機関内で製造するか否かを問わず、当然に満たしている必要がある。H18.03.31(その3)-80
-
これまで肺癌、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、転移性肝癌で認められていた「他の検査、画像診断でその存在を疑うが病理診断により確定診断が得られない患者」(転移性肝癌以外はPET検査のみ)及び膵臓癌で認められていた「他の検査、画像診断で膵癌の存在を疑うが腫瘤形成性膵炎との鑑別が困難な患者」(PETおよびPET-CT検査)の適用要件がなくなっている。
- これらの要件では算定できなくなったのか。
- PETとPET-CTで悪性腫瘍に関する記載は差異が無くなっているが、悪性腫瘍に関するPET-CTの算定要件はPETと同等になったのか。
-
- そうではない。病理診断を施行したが確定診断が得られなかった場合又は医学的な理由(生検リスクが高い等)によって病理診断が困難であった場合については、臨床上高い蓋然性をもって悪性腫瘍と診断されれば、今まで適用となっていた疾患について、従前の通り算定できる。膵癌についても同様に腫瘤形成性膵炎との鑑別目的で算定できる。 なお、単なる疑いのみでの算定ができないことも従前の通りである。
- そのとおり。
H22.04.30(その3)-13 -
区分番号「E101-2」ポジトロン断層撮影における「放射性医薬品管理者」とは、どのような者をいうのか。
-
日本核医学会、日本核医学技術学会、日本診療放射線技師会及び日本病院薬剤師会の「放射性医薬品取り扱いガイドライン」においては、「放射性医薬品管理者は、各医療機関の「医薬品の安全使用のための業務手順書」に従い放射性医薬品の安全確保に関する業務を総括するものとし、定期的に「医薬品安全管理責任者」に保管・使用状況、放射性医薬品の安全使用のための研修の実施及び放射性医薬品の品質について年1回以上報告し、放射性医薬品が廃棄されるまでの管理を行う」こととされている。R4.03.31(その1)-199