認知症ケア加算の施設基準等 – 令和4年度診療報酬改定

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告示

三十五の七 認知症ケア加算の施設基準等

  1. 認知症ケア加算1の施設基準

    当該保険医療機関において、認知症を有する患者のケアを行うにつき十分な体制が整備されていること。

  2. 認知症ケア加算2の施設基準

    当該保険医療機関において、認知症を有する患者のケアを行うにつき適切な体制が整備されていること。

  3. 認知症ケア加算3の施設基準

    当該保険医療機関において、認知症を有する患者のケアを行うにつき必要な体制が整備されていること。

  4. 認知症ケア加算の対象患者

    認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態である患者

通知

第26の6 認知症ケア加算

  1. 認知症ケア加算1の施設基準
    1. 当該保険医療機関内に、以下から構成される認知症ケアに係るチーム(以下「認知症ケアチーム」という。)が設置されていること。このうち、イに掲げる看護師については、原則週16時間以上、認知症ケアチームの業務に従事すること。
      1. 認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師
      2. 認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師
      3. 認知症患者等の退院調整について経験のある専任の常勤社会福祉士又は常勤精神保健福祉士

      なお、アからウまでのほか、患者の状態に応じて、理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士が参加することが望ましい。

    2. (1)のアに掲げる医師は、精神科の経験を3年以上有する医師、神経内科の経験を3年以上有する医師又は認知症治療に係る適切な研修を修了した医師であること。なお、ここでいう適切な研修とは、国、都道府県又は医療関係団体等が主催する研修であり、認知症診断について適切な知識・技術等を修得することを目的とした研修で、2日間、7時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものであること。また、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(精神科の経験を3年以上有する医師、神経内科の経験を3年以上有する医師又は認知症治療に係る適切な研修を修了した医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該2名以上の非常勤医師が認知症ケアチームの業務に従事する場合に限り、当該基準を満たしていることとみなすことができる。
    3. (1)のイに掲げる認知症看護に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。
      1. 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)。
      2. 認知症看護に必要な専門的知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
      3. 講義及び演習は、次の内容を含むものであること。
        1. 認知症の原因疾患・病態及び治療・ケア・予防
        2. 認知症に関わる保健医療福祉制度の変遷と概要
        3. 認知症患者に特有な倫理的課題と対応方法
        4. 認知症看護に必要なアセスメントと援助技術
        5. コミュニケーションスキル
        6. 認知症の特性を踏まえた生活・療養環境の調整方法、行動・心理症状(BPSD)への対応
        7. ケアマネジメント(各専門職・他機関との連携、社会資源の活用方法)
        8. 家族への支援・関係調整
      4. 実習により、事例に基づくアセスメントと認知症看護関連領域に必要な看護実践を含むものであること。
    4. (1)のウに掲げる社会福祉士又は精神保健福祉士は、認知症患者又は要介護者の退院調整の経験のある者又は介護支援専門員の資格を有する者であること。
    5. 認知症ケアチームは、以下の業務を行うこと。
      1. 認知症患者のケアに係るカンファレンスが週1回程度開催されており、チームの構成員及び当該患者の入院する病棟の看護師等、必要に応じて当該患者の診療を担う医師などが参加していること。
      2. チームは、週1回以上、各病棟を巡回し、病棟における認知症患者に対するケアの実施状況の把握や病棟職員への助言等を行うこと。
      3. チームにより、身体的拘束の実施基準や鎮静を目的とした薬物の適正使用等の内容を盛り込んだ認知症ケアに関する手順書(マニュアル)を作成し、保険医療機関内に周知し活用すること。なお、認知症ケアの実施状況等を踏まえ、定期的に当該手順書の見直しを行うこと。
      4. チームにより、認知症患者に関わる職員を対象として、認知症患者のケアに関する研修を定期的に実施すること。
    6. 認知症患者に関わる全ての病棟の看護師等は、原則として年に1回、認知症患者のアセスメントや看護方法等について、当該チームによる研修又は院外の研修を受講すること(ただし、既に前年度又は前々年度に研修を受けた看護師等にあってはこの限りではない)。また、原則として、全ての病棟(小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床は除く。)に、2の(4)に掲げる認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修又は院内研修を受けた看護師を1名以上配置することが望ましい。
    7. 当該保険医療機関において、当該チームが組織上明確に位置づけられていること。
  2. 認知症ケア加算2の施設基準
    1. 当該保険医療機関に、認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師又は認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師を配置すること。
    2. (1)に掲げる医師については、1の(2)を満たすものであること。また、(1)に掲げる認知症看護に係る適切な研修については、1の(3)の例による。
    3. 原則として、全ての病棟(小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床は除く。)に、認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を3名以上配置すること。
    4. (3)に掲げる認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。ただし、(3)に掲げる3名以上の看護師のうち1名については、次の事項に該当する研修を受けた看護師が行う認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る院内研修の受講をもって満たすものとして差し支えない。
      1. 国、都道府県又は医療関係団体等が主催する研修であること(修了証が交付されるもの)。
      2. 認知症看護に必要な専門的知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
      3. 講義及び演習は、次の内容について9時間以上含むものであること。
        1. 認知症の原因疾患と病態・治療
        2. 入院中の認知症患者に対する看護に必要なアセスメントと援助技術
        3. コミュニケーション方法及び療養環境の調整方法
        4. 行動・心理症状(BPSD)、せん妄の予防と対応法
        5. 認知症に特有な倫理的課題と意思決定支援
    5. (1)の医師又は看護師は、病棟における認知症患者に対するケアの実施状況を定期的に把握し、病棟職員に対して必要な助言等を行うこと。
    6. (1)の医師又は看護師を中心として、身体的拘束の実施基準や鎮静を目的とした薬物の適正使用等の内容を盛り込んだ認知症ケアに関する手順書(マニュアル)を作成し、保険医療機関内に周知し活用すること。
    7. (1)の医師又は看護師を中心として、認知症患者に関わる職員に対し、少なくとも年に1回は研修や事例検討会等を実施すること。
  3. 認知症ケア加算3の施設基準
    1. 2の(3)及び(4)の施設基準を満たしていること。
    2. 身体的拘束の実施基準や鎮静を目的とした薬物の適正使用等の内容を盛り込んだ認知症ケアに関する手順書(マニュアル)を作成し、保険医療機関内に周知し活用すること。
    3. 2の(3)に掲げる認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を中心として、病棟の看護師等に対し、少なくとも年に1回は研修や事例検討会等を実施すること。
  4. 届出に関する事項
    1. 認知症ケア加算1の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の10を用いること。
    2. 認知症ケア加算2又は3の届出は、保険医療機関単位で届け出るが、その際、小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床を除いて届け出ることができること。また、施設基準に係る届出は、別添7の様式40の11を用いること。

事務連絡

  1. 区分番号「A247」認知症ケア加算1の施設基準において、「認知症ケアチーム」の専任の常勤看護師は、「原則週16時間以上」当該チームの業務に従事することとされているが、夏季休暇や病休等により週16時間以上の業務を行えない週があった場合には、施設基準を満たさないこととなるか。
  2. 夏季休暇や病休等により、当該看護師が認知症ケアチームの業務を週16時間以上行えない場合は、当該週の前後の週を含めた連続した3週間について、平均業務時間数が週16時間以上であれば施設基準を満たすものであること。ただし、当該看護師が不在の間は、当該チームの他の構成員によりチームの業務を適切に行うこと。
    R2.03.31(その1)-34

  3. 認知症ケア加算1の認知症ケアチームは、週1回以上、各病棟を巡回することとなっているが、巡回の際、当該チームメンバー全員で行う必要があるか。
  4. 全員揃っていることが望ましく、少なくとも看護師を含め2名以上で巡回することが必要である。
    H28.04.25(その2)-6

  5. 認知症ケア加算「1」又は「2」の施設基準にある認知症ケアチームの専任看護師は、精神科リエゾンチームの専任看護師との兼務が可能か。
  6. 可能である。
    H28.03.31(その1)-66

  7. 認知症ケア加算「1」又は「2」の施設基準にある「認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師」のうち、「認知症治療に係る適切な研修を修了した医師」に求められる「認知症治療に係る適切な研修」とは、どのようなものがあるのか。
  8. 現時点では、都道府県及び指定都市で実施する「認知症地域医療支援事業」に基づいた「認知症サポート医養成研修」である。
    H28.03.31(その1)-67

  9. 認知症ケア加算「1」又は「2」の施設基準にある認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する専任の常勤看護師に求められる「認知症治療に係る適切な研修」とは、どのようなものがあるのか。
  10. 現時点では、以下のいずれかの研修である。

       

    1. 日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
    2. 日本看護協会が認定している看護系大学院の「老年看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
    3. 日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」

      ただし、③については認定証が発行されている者に限る。

    H28.03.31(その1)-68

  11. 区分番号「A247」認知症ケア加算2の施設基準における「認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師」のうち、「認知症治療に係る適切な研修を修了した医師」に求められる「適切な研修」とは、どのようなものがあるか。
  12. 認知症ケア加算1と同様である。

    「疑義解釈の送付について(その1)」(平成28年3月31日事務連絡)の問67を参照のこと。

    R2.03.31(その1)-35

  13. 区分番号「A247」認知症ケア加算2の施設基準における「認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師」に求められる「適切な研修」とは、どのようなものがあるか。
  14. 認知症ケア加算1と同様である。

    「疑義解釈の送付について(その1)」(平成28年3月31日事務連絡)の問 68を参照のこと。

    R2.03.31(その1)-36

  15. 区分番号「A247」認知症ケア加算2の施設基準における「認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師」に求められる「適切な研修」とは、どのようなものがあるか。
  16. 認知症ケア加算3(令和2年度診療報酬改定前の認知症ケア加算2)と同様である。

    「疑義解釈の送付について(その1)」(平成28年3月31日事務連絡)の問69を参照のこと。

    R2.03.31(その1)-37

  17. 区分番号「A247」認知症ケア加算2の施設基準の(4)及び認知症ケア加算3の施設基準の(1)における「認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る院内研修」について、

    1. 当該院内研修の具体的な内容や時間は決められているか。
    2. 当該院内研修は、認知症ケア加算2の施設基準(7)又は認知症ケア加算3の施設基準(3)で示されている「研修や事例検討会等」でもよいか。
    3. 認知症ケア加算2の場合は、施設基準の(1)に掲げる「認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師」が実施しても差し支えないか。
  18. それぞれ以下のとおり。

    1. 具体的な内容や時間についての特段の規定はないが、認知症患者のアセスメントや看護方法等について、知識・技術を得ることが可能な内容とすること。
    2. 認知症患者のアセスメントや看護方法等について知識・技術を得ることが可能な内容を含む研修や事例検討会等であればよい。
    3. よい。
    R2.03.31(その1)-38

  19. 認知症ケア加算「3」の施設基準にある「認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師」に求められる「適切な研修」とは、どのようなものがあるか。
  20. 現時点では、以下のいずれかの研修である。

    1. 都道府県及び指定都市「平成28年度看護職員認知症対応力向上研修」
    2. 日本看護協会「平成25年度一般病院における認知症患者看護のマネジメント」、「平成27年度急性期病院で治療を受ける認知症高齢者の看護」、「平成28年度インターネット配信研修〔リアルタイム〕認知症高齢者の看護実践に必要な知識」
    3. 日本老年看護学会「認知症看護対応力向上研修」
    4. 日本精神科看護協会「認知症の理解とケア」
    5. 日本慢性期医療協会「看護師のための認知症ケア講座」
    6. 全日本病院協会「病院看護師のための認知症対応力向上研修会」
    7. 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)本部研修センター「認知症看護研修」
    8. 社会福祉法人恩賜財団済生会「認知症支援ナース育成研修」

      なお、東京都が行っている「東京都看護師認知症対応力向上研修Ⅰ」又は平成24年度から平成27年度開催の「東京都看護師認知症対応力向上研修」は、認知症ケア加算2にある所定の研修の内容としては不十分であり、所定の研修とは認められないが、「東京都看護師認知症対応力向上研修Ⅰ」又は平成24年度から平成27年度開催の「東京都看護師認知症対応力向上研修」と併せて、「東京都看護師認知症対応力向上研修Ⅱ」を修了した場合には、必要な研修内容を満たすものとなるため、認知症ケア加算2にある所定の研修とみなすことができる。

    H28.03.31(その1)-69